むかし、むかし、東夏見村の一角にお城がありました。

このお城を取り巻く土塁の側に、雪解塚と呼ぶ小高い塚が一つありました。

雪解塚の上には、大きな松の木が一本生えていました。

この松の木の幹の中程には空洞が出来、そこに大きな白蛇が棲んでいました。

白蛇は大変美しい姿をしていました。村の人びとは、この白蛇を見ては「白蛇様は、きれいな身体をしているのー。美しい姿をしているのー」と言いながら、恐ろしさを忘れて見とれるほどでした。

白蛇は、日中は大抵穴の奥で昼寝をしていました。そして、夜になると大きな長い美しい胴体を、松の木の幹にぐるぐると絡ませていました。 それから鎌首を立て、四方を陣睨(へいげい)するかのように見渡していました。さらに、白蛇の目は、夜空に向かってきらきらと光を放っていました。この白蛇の目の光はかなり遠くからも見ることが出来ました。

そこで、船橋浦の漁師たちは海に出て方向を見失った時にこの光を見て「アッ、東夏見村の白蛇様の光が見えたぞ。あの方向に行けば家に帰れるそ。助かった、助かった」 と言って、頼りにし、また感謝していました。

このように、雪解塚の白蛇はいつも灯台の役目も果たしていたということです。